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湯の原温泉・本田さん宅/大田市温泉津町 [近所の温泉巡り]

<2006年6月>

昭和40年代の大田市近辺のヘリウム資源(いわゆる温泉)の研究文献によると、
温泉津町福光に温泉(鉱泉)が存在していることがわかった。

現在の福光周辺を地図で調べてみると、
「湯の郷苑」「湯の原公園」など温泉にちなんだ名称が残っている。
てっきり温泉津温泉にちなんだ名称だと思っていたが、間違った認識だった。
しかも、「湯の原温泉前」というバス停までもが現存しているではないか。





ネットで検索した結果、やはり湯の原温泉旅館がかつて実在し、
今は廃業して個人宅となっているらしい。
かなり高齢のおばあちゃんが、独りで暮らしているとの事、
そんな状況なので、外観と位置確認だけするために現地へ行った。

そのお宅は、高さ3~4mほどの小山を背負ったように建てられている。
その小山から温泉が湧き出るので、そこに風呂場を建てたらしい。
小山の頂上付近には見事な黒松が生え、その脇に小さなお堂が見えた。



場所も特定できたことだし、後ろ髪は引かれるが早々に退散しようとすると・・・

「どうかしなさったかな?」
家主であるおばあちゃんに声をかけられてしまった。

不審者だと思われても困るので、正直に事情を説明すると、
「それはそれは、よう来(き)んさった。いくらでも見ちゃんさい。」
などと、嬉しいお言葉をちょうだいした。

そんなわけで、遠慮なく源泉の湧きだす様子を見せてもらった。





まさにコンコンと湧き出る、新鮮な源泉。
源泉温度は約30℃とのこと。
この部屋の左側に風呂場が造ってある。

良いもの見せてもらって感動し、失礼しようとすると、
「風呂には入って行きんされんかな?」

えぇ?????ぜひお願いいたします!!!!!!



隣には家庭用サイズの浴槽があり、源泉をダイレクトに浴槽へ注入、
ボイラーで加温できる仕組みになっていた。
源泉を飲んでみると、ほんのりの苦さとしょっぱさに炭酸がスパーク。
新鮮な源泉は無色透明だったが、熱せられて酸化すると変色していく。

三瓶温泉付近の土臭い温泉と違い、薄い海水に浸っている感じ。
海育ちには、こっちの方が性に合うな。



目の前には小山の地層が。
太古の自然を感じながら、悠然と入る風呂は爽快。

風呂から上がると、おばあちゃんが色んな話を教えてくれた。

この辺りは昔は海だったこと。だからあの地層に貝の化石があったこと。
小山の松は樹齢100年超えてること。
昔はここが木賃宿だったこと。
そのさらに昔はゴミ捨て場だったこと。
無銭宿泊の客に腹をたてたこと。
中学校の生徒が大勢来て、てんやわんやだったこと。
などなど、たくさん・・・・・

今でも全国各地から、温泉好きが訪れるんだとか。
「いくらでもタダで入らせてあげるから、好きなだけいらっしゃい。
でも、あんまり大人数だと困るねぇ、風呂が小さいから。」

温泉好きで一般常識と節度のある人は、ぜひ行ってみるといい。
そして、おばあちゃんの話相手になってあげて欲しい。
手土産よりも、土産話の方が喜ばれる。

「またいつでも来んさい。今度は子供も連れてな。」

本田マツヨさん、今年で87歳。
この温泉の効能は、おばあちゃんを見ればすぐわかるな。


<こぼれ話>

源泉から湧き出るお湯は、当然、使い切れないのでそのまま排水。
温泉マニアが見たら泣くかもしれないが、どんどん排水。
そんなわけで、近くの排水溝をたどっていくと・・・



生活排水なのに、湯の花満開でございました。




湯の原温泉・本田さん宅
島根県大田市温泉津町

泉質 : 含砒素-ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩泉
泉温 : 34℃






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コメント 10

おにゆり

素敵な時間をすごされましたね
なんか見てるだけでも至福のひと時です感謝
是非Jrちゃん連れて行ってあげてください♪
σ(*`(∞)´*)も行きたいなぁ♨
by おにゆり (2006-06-24 18:59) 

mine

おにゆりさん
特上源泉+特上おばちゃんです。
ぜひとも、おにゆりさんも訪れてみてください。
by mine (2006-06-25 01:13) 

きりきりととと

うわっ、すっげぇー、鄙びた温泉街。
ああ、いきたい。
by きりきりととと (2006-06-26 00:20) 

mine

ぜひ、ぶらりと立ち寄ってください。
by mine (2006-06-26 06:59) 

秀太

すんごく歴史を感じさせてくれます。
お婆ちゃまとの会話楽しそうですね
是非訪れてみたいです(^^)
by 秀太 (2006-06-26 11:35) 

itokaz

こんな良い場所、良い話が残っていたとは!?
驚きですっ。

こりゃ東京で暮らしてる場合じゃないなー。
by itokaz (2006-06-26 15:27) 

mine

秀太さん
おばあちゃん、昔話するのが本当に大好きなんです。
実名での公表はさすがにマズイかな・・・・って思ってたら、
某氏が出版している温泉本には、実名で紹介されてました。
その本を嬉しそうに見せてくれるおばあちゃん、
「これがアタシよ」
見ればわかるって!!
by mine (2006-06-26 17:38) 

mine

droleさん
まるで本にでてくるような、
人のいい田舎のおばあちゃん、そのものでした。
田舎を巡る写真の旅、なんていかがですか?
by mine (2006-06-26 17:43) 

よねざわいずみ

はじめまして。
偶然こちらのblogを拝見し、今月初頭にこちらを訪問させていただきました。
ホントにいいおばあちゃまで、気品漂う、心から尊敬できるお年寄りでした。
もちろん湯は極上、あぁ生きていてよかった、と感じた瞬間でした。ありがとうございました。
by よねざわいずみ (2006-12-11 23:54) 

mine

よねざわいずみ さん
はじめまして。
良かったでしょ?
湯も極上だけど、それを守り続けるおばあちゃんはさらに極上。
温泉が本来あるべき姿だと思っております。
by mine (2006-12-12 05:10) 

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